ブログ

2016年3月11日

香港と日本のアジア小学生交流  その4(最終回)

日韓・アジア教育文化センター
小林聖心女子学院小学校 講師
森本 幸一

CIMG2359 (1024x768)   コルベ神父とコルベ講堂(仁川学院小学校内)

CIMG2358 (1024x768) 再見!二日間の交流を終えたSFA児童と両校の先生方

今回の香港のSt.Francis of Assisi’s Engrish Primary School (SFA)と日本の私立仁川学院小学校との交流は、実際に他国の同世代の子どもたち同士が交流するという大変意義深いことであることを実感した。両国の子どもたちは、活動を通してたがいに片言の英語やアイコンタクト、 身ぶり手ぶりをつかって意思の疎通をはかろうした。
(後に境先生からうかがった話だが、仁川学院のある児童が、この交流を通して英語力の必要性を感じたのだろうか、「先生、英検2級とったほうがいいかな。」と言ったそうだ。)

 この交流が子どもたちの心にどんな影響をもたらしたのか私には定かではないが(ぜひ、両校の先生方にそのようなお話をうかがいたいと思うが…)、しかし、私がこの交流を直に見させていただき、仁川学院の先生方やマギー先生との会話の中で確かな手ごたえを感じたことは確かである。

また、学校教育の現場で、見える学力、数字として見える成果を子どもたちに養うことは大変重要なことではあるが、それをややもすると偏重しがちな昨今である。しかし、学校内ではいじめや不登校、社会では残忍な殺人、ISによるテロ、国家間の紛争、核武装などの信頼を築けないがための武力の誇示など、子どもたちが全ての人たちへの愛の心やまなざしを培っていくことに影を落とす出来事は数え上げればきりがない。私も一教師として悩みの多い一人ではあるが、しかし、こんな時代だからこそ子どもたちの心に信頼し合う大切さを実感し、それに向けて進んでいこうとする意志を育てていくことは大変重要なことであると思う。そういう意味でも、この香港と日本の子どもたちの交流は、アジアの子どもたちが互いに心を通わすことのできる仲間だと実感できる貴重な交流であったと思う。

仁川学院、SFA両校の共通の聖人フランシスコは、太陽・月・風・水・火・空気・大地を「兄弟姉妹」と呼び、その自然の中で神の愛に気づき、そして小鳥に向かって説教したという話もあるが、これら地球上の自然の中で生きるわれわれ、とりわけ教育に携わる者としては特に子どもたちが、人を含めたこの地球上のさまざまなものからの愛に気づき、たがいに愛と信頼の心で結ばれることを願ってやまない。

仁川学院とSFAの交流がこれからも続いていくよう、北宋の蘇軾が「水調歌頭」で仲秋の名月を観て歌っているように(「但願人長久 千里共嬋娟」)、私も今夜は寒月を愛で、両校の絆が深まるよう願いたいと思う。

井嶋先生を中心とした十数年に及ぶ日韓・アジア教育文化センターの繋がりがこの交流を実現させたことは大変喜ばしいことで、私もその一役を担えて、大変光栄に思っている。